コロナ 自粛疲れの人・今の生活に疑問を抱き始めた人へ おすすめの本 コンビニ人間 村田沙耶香
コロナ自粛により、それぞれ大きな生活スタイルの変化を感じているのではないでしょうか。
テレワークによって家にいる時間が増えた人。
家族との時間が増えた人。
普段よりも、家に人がいることにより、疲れてしまった人。
生活が変化することによって、今までの生活に対して、思いを馳せる人が多いのではないでしょうか。
そんな人に読んでほしい、そんな本です。
簡単なあらすじ
主人公である、古倉恵子は変わった人間である。周囲の一般的な人が考える、当たり前のことを小さい頃から理解できず、また、することもできない人間である。
大人になっても、それは変わらず。
しかし、他人におかしいと思われないように、他人の行動や発言を、真似してなんとか、社会に溶け込もうとしている。
そんな彼女は、36歳、職業 コンビニアルバイトという肩書きである。
彼女にとって、コンビニは非常に洗練化された箱であり、合理的なことをして、作業を行えば良いという点で、素晴らしい職場なのである。
今日は気温が高くなったから、アイスを多く仕入れよう。
昼に人が多く押しかけるだろうから、念入りに準備しておこう。
隣の店が潰れたから、客が増えるだろうな。
彼女はもはや、コンビニというシステムの部品となっていたのであった。
18年もコンビニで働き続けると、必要な会話も規格化され、おかしいと思われることもなく、心地の良い、なんの乱れもない、日々を過ごしていたのだった。
しかし、高校時代の同級生たちに再開した時に、その考え方が崩れ始める。
同級生たちはすでに、結婚をし、子供を授かっている人も多かった。
彼女らは恵子が、未だにコンビニアルバイトをしていてさらに恋愛してこともないことに驚いた(ドン引き)態度をとったのだった。
恵子は自分が、一般の人から見て、おかしいということに気づき、困惑する。
自分には、コンビニバイト以外の仕事はできず、全く恋愛感情というものがなかった。
そこで体裁を気にして、試しに、バイトをクビになった無職の男と、同棲して見ることにした。
男と同棲していることを周囲の人に言うと、
なんと、反響は大きく、みなが喜んでくれた。
これが世間的に正しいことであると、恵子は納得し、無職の男を家に住まわせる生活を開始する。。
さらに、コンビニ店員をやめ、世間的に真っ当な仕事を始めようとするが、
ふと立ち寄ったコンビニにおいて、自分の体の細胞が、一気に呼び戻されるような、活性化されるような体験をし、
自分は生まれながらに、コンビニ店員なのだ!!!と再認識する。
この話から考えたこと
この話は一見、おかしな人間の話をしているだけのfunny ストーリーに終始してしまうと思えてしまうが、
世間の目など気にせず、自分にあった仕事、生き方を選ぶことに対する勇気のようなものを感じさせてくれる。
周囲の家族、友達、一般的な目は、
大学を出て、就職をし、結婚し、子供を授かることを真っ当な生き方、これこそが幸せ
と述べがちであるし、考えがちであるが、
本当にその個々人がやりたいこと、自分にあっていることをすることが、本人にとって一番の幸せなのかもしれない。
現代は、様々な許容幅があるのだから、そんな生き方をする環境も十分にある。
今いる会社が、自分のいる正しい会社なのか。
今一緒にいるパートナーが、本当に一緒にいたい人なのか。
子供が欲しいから、妥協して、焦って結婚した相手ではないのか。
自分が持っているスキルを活かすことができる他の仕事はないのか。
家にいる時間が多い今だからこそ、ゆっくり考え、今までの生活を見直して見るのもいいかもしれない。
そして、この本は新しい生き方をすることへの、勇気をくれる、そんな話であると、解釈した。